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メーカーでも店舗でもない、介護用品の「卸会社」だからできること
- 2026年8月21日
- コラム

「また値上げですか」今年、いちばん多く聞いた言葉
施設様を訪問して価格改定のご案内をお渡しすると、こう返されることが増えました。
「また値上げですか」
責められているわけではありません。ただ、担当者の方の表情には、明らかに疲れが見えます。
無理もないと思います。今年に入ってから、値上げの案内は一度きりでは終わっていないからです。
しかも今回は、おむつだけの話ではありません。パッド、エプロン、ペーパータオル、手袋、洗剤…現場で毎日使うものが、あちこちで同時に動いています。
「うちが使っているあの商品も上がるのか」
そう感じている施設様は、決して少なくないはずです。実際、公式に発表されている情報を拾うだけでも、今の状況は見えてきます。
値上げは「一部のメーカーの話」ではなくなった
2026年に入ってから発表された、主なメーカーの価格改定情報を整理してみます。
(大王製紙)
2026年5月15日付の発表で、家庭用・業務用製品の全品を現行価格より15%以上、2026年8月1日納品分から改定するとしています。
2026年4月にも一部製品で10%以上の改定を行っており、半年のうちに2度目の改定となります。
▶ 出典:大王製紙株式会社「家庭用・業務用製品の価格改定について」(2026年5月15日)
同時期には、他の大手製紙・衛生用品メーカーでも同様の価格改定の動きが報じられています。
実際の改定幅・時期・納入価格は、販売ルートや契約形態によって異なりますので、詳細は各社・各代理店の案内をご確認ください。
値上げの背景として各社が共通して挙げているのが、中東情勢の不安定化にともなう原燃料・資材価格の高騰です。
紙おむつは「紙」という名前がついていますが、吸収体や不織布、外装フィルムなど、石油由来の素材が数多く使われています。
原油価格の変動が、そのままコストに跳ね返る構造になっているのです。
つまり今回の値上げは、特定のメーカーの経営判断ではなく、業界全体が同じ外部要因に押されて動いているということになります。
「別のメーカーに切り替えれば安く済む」… 残念ながら、今回はその発想だけでは乗り切れません。
一方で、施設様の経営には余白がない
ここで、施設側の状況にも目を向けてみます。
厚生労働省が公表した「令和7年度介護事業経営概況調査結果」では、次のような数字が示されています。
- 全サービス平均の収支差率:4.7%
- 赤字事業所の割合:全サービス平均で37.5%
- そのうち施設サービスの赤字割合は44.8%
施設系サービスでは、およそ2施設に1施設が赤字という状況です。しかも介護事業は費用の大半を人件費が占めるため処遇改善を進めれば進めるほど、他のコストを削る余地は小さくなっていきます。
収入は介護報酬という「公定価格」で決まっていて人件費は下げられない。そこに、消耗品の一斉値上げが重なる。
この局面で施設様が取りうる現実的な打ち手は、そう多くありません。
だからこそ今、「どこから、どうやって仕入れるか」という仕入れルートそのものの見直しが、あらためて重要になってきていると考えています。
介護用品の仕入れルートは、大きく2つ
介護施設様が介護用品を調達する方法は、大きく分けると次の2つになります。

「メーカーから直接買えばいいのでは」と思われた方もいるかもしれません。ただ、少なくとも沖縄では、その選択肢は現実的とは言えません。理由は後ほどご説明します。
まずは、実際に選ばれている2つのルートを見ていきます。
店舗購入の「できること」と「できないこと」
ひとつが、ドラッグストアやホームセンターなど、店舗での購入です。
すぐ手に入る・その場で現物を確認できる・少量から買える。小規模な施設様にとっては、始めやすい方法だと思います。
ただ、運営が軌道に乗ってくると、いくつかの壁にぶつかります。
「在庫数の壁」
店舗の在庫は一般消費者向けの想定です。施設で使う量をまとめて買おうとすると棚から消えてしまいます。「Lサイズのテープ型が3パックしかなかった」といったことが起こります。
「配送の壁」
基本的に配達はありません。スタッフ様が自家用車や施設の車で買いに行き、積んで・降ろして・収納する。この一連の作業が、そのまま業務時間を消費します。
「支払いの壁」
掛売り(後払い)に対応していない店舗がほとんどです。都度立て替えが発生し、レシートを集めて精算する手間が生まれます。経理担当の方にとっては、月末にレシートの束と向き合うことになります。
そして、見落とされがちな「人」の壁。
買い出しに行っている間、そのスタッフ様は現場にいません。
往復の移動時間・店内で在庫を探す時間・レジに並ぶ時間… 1回あたりは1時間程度でも、週に2回あれば月に8時間です。年間だと約100時間。
本来なら利用者様のケアに使えたはずの時間が、おむつ・消耗品の調達に消えていきます。
実際、アイノンにご相談いただいた小規模施設様の中には、まさにこの状態から切り替えられたケースがあります。
「安く買えている」つもりが、実はスタッフ様の人件費という見えないコストを支払っていた。切り替え後にそのことに気づかれた、というお話をうかがっています。
「メーカーから直接買えないの?」という質問について
ここで、経営者の方からよくいただく質問に触れておきます。
「間に会社を挟まず、メーカーから直接買ったほうが安いのでは?」
コスト構造を考えれば、当然出てくる発想だと思います。ただ、少なくとも沖縄で新たに取引を始める場合、メーカーとの直接取引という選択肢は現実的にはほとんど存在しません。
卸会社や販売店を経由するのが標準的な形です。
理由はいくつか考えられます。まず、沖縄という立地です。
大手メーカーの多くは、沖縄県内に自社の物流拠点を置いていないと言われています。
県外の拠点から海上輸送を経て商品が届くことになり、県内の配送は地元の業者へ委託される形が一般的です。
つまり、直接取引をしたとしても物流の実務はどのみち地元の業者が担う構造になっています。「中間を抜けば安くなる」という図式が、そのまま当てはまらないのはこのためです。
次に、取引ロットの問題です。メーカーが直接取引を行う場合、一定以上の取引量が前提になることが多いようです。
施設様が単独でその条件を満たすのは現実的とは言えません。
まとまった量を仕入れ、必要な分だけ小分けにして届ける。この機能を担っているのが卸会社です。
そして、コミュニケーションの距離です。
仮に直接取引ができたとしても、営業担当者が県外にいる場合、施設を訪問する機会はどうしても限られます。
年に数回の訪問では、「先月から入所された利用者様の状況」や「夜勤帯のスタッフ様が困っていること」までは、なかなか拾いきれません。
加えて、メーカーが案内できるのは当然ながら自社製品のみです。これはメーカーの立場を考えれば当たり前のことです。
ただ施設様の側から見ると、「A社の製品と、衛生材料にはB社の製品を組み合わせたほうが最適」といった横断的な検討ができなくなります。
とくに今回のような値上げ局面ではこの差が効いてきます。値上げの幅も時期も、メーカーごとにバラバラだからです。
先ほど見たとおり、同じ時期でも改定幅が10%程度のところもあれば、15%以上のところもあります。
複数メーカーを見比べられる立場でなければ、「今どこが有利か」という判断そのものができません。
卸会社だからできる、3つのこと
では、私たちのような卸会社は何ができるのか。手前味噌にならないよう、できるだけ具体的にお伝えします。

(1) メーカーを横断した「代替案」を出せる
これが、値上げ局面で最も価値が出る部分だと考えています。
私たちは複数メーカーの商品を扱っているため、「今お使いのA社の商品が15%上がるなら、同等の吸収性能を持つB社のこの商品はどうか」という比較検討ができます。
ここで大事なのは、単純に安いものを勧めるわけではないという点です。
吸収量が足りない商品に変えれば、夜間の漏れが増え、交換回数が増え、シーツ交換や洗濯の手間が増えます。
結果としてトータルコストは上がりスタッフ様の負担も増える。これでは本末転倒です。
「性能を落とさずに、コストを抑えられる選択肢はあるか」
ここを見極めるために、各メーカーの商品特性を横断的に把握しておく必要があります。
私たちが日々やっているのは、そういう仕事です。
また、欠品や供給調整が起きたときにも、同等品への切り替えをご提案できます。
1社に依存していない立場だからこそできる、リスクヘッジの形だと考えています。
(2) おむつ以外もまとめて、窓口を一本化できる
今回の値上げが厄介なのは、おむつだけでは終わらないことです。
値上げの動きは、衛生材料、紙製品、洗剤、手袋、清拭タオルなど広範囲に及んでいるようです。
それぞれ別のルートで仕入れていると、値上げの案内もバラバラに届き、担当者の方はその都度対応に追われることになります。
アイノンでは、おむつ・パッドはもちろん、衛生材料、消耗品、紙製品、介護用品まで幅広く取り扱っています。
窓口が一本化されることで、
- 発注先が1つになり、発注業務そのものが減る
- 納品が一度にまとまり、受け取りの手間が減る
- 請求書が1枚にまとまり、経理処理が簡素になる
- 値上げ情報も一箇所から届くため、全体像を把握しやすくなる
といった効果が生まれます。ホームセンターへ買い出しに行っていた洗剤や紙製品も、おむつと一緒に納品することが可能です。
「安く買う」だけでなく、「管理しやすくする」ことも立派なコスト削減だと、私たちは考えています。
(3) 現場の声を、メーカーへ届けられる
3つ目は、少し見えにくい役割かもしれません。
私たちは日々、施設様の現場に足を運んでいます。そこで聞こえてくるのは、カタログには載っていない生々しい声です。
「このパッドは、この角度で当てるとズレやすい」
「この商品は個包装が開けにくくて、夜勤帯だと手間取る」
「もう少し小さいサイズがあれば、この利用者様に使えるのに」
こうした声を、私たちはメーカーの担当者へ伝えています。
エリア担当者だけでなく、マネージャー、その上の管理職、場合によっては役員クラスの方にお会いする機会もあります。
そうした場で、沖縄の現場で何が起きているかをお伝えしています。
もちろん、すべての声がすぐ商品改良につながるわけではありません。ただ、現場の声がメーカーに届く「経路」が存在していること自体に意味があると考えています。
メーカーは全国・全世界を見て商品を作ります。沖縄の一施設の声が、そのままでは届きにくいのは当然です。
その距離を縮めるのが、施設とメーカーの間に立つ私たちの役割だと思っています。
実は効いてくる、事務・会計まわりのサポート
たとえば、入金の消込確認。
アイノンでは、ご入金を確認してから2〜3営業日以内に消込を行えるように努めています。
万が一、金額に相違があった場合や入金が確認できない場合も、先回りしてお知らせします。
「請求書の金額が合っているか、月末にならないと分からない」
「支払ったはずなのに、督促が来た」
こうした行き違いは、経理担当の方にとって地味にストレスの大きいものです。ここを先回りして潰しておくだけで、月末の負担はかなり軽くなります。
また、ご要望に応じて購買レポートの発行も行っています。発注ルールどおりの運用ができているか、担当者が交代する際の引き継ぎ資料などとしてご活用いただいています。
派手さはありませんが、毎月必ず発生する業務だからこそ、積み重なると差が出る部分です。
メーカー縛りのない勉強会
もうひとつ、私たちが力を入れているのが独自のおむつ勉強会です。
特徴は、特定メーカーの縛りがないという点にあります。
メーカー主催の研修は、当然ながら自社製品の使い方が中心になります。それはそれで有用なのですが、施設様の現場では複数メーカーの商品が混在していることがほとんどです。
アイノンの勉強会では、メーカー横断で「製品特徴と現場の声」をお伝えできます。
パッドの当て方、サイズ選定の考え方、テープ型とパンツ型の使い分けなど、商品の枠を超えた内容を扱えるのは卸の立場ならではだと思います。
開催形式も柔軟です。会議室を用意していただく必要はなく、フロアの一角でも対応しています。
忙しいスタッフ様が参加できるよう時間帯を調整したり、数名単位の小規模開催にしたりと、施設様の運営に合わせて調整しています。
もちろん費用はいただいていません。現場のスキルが上がることが、結果として漏れの減少・交換回数の適正化につながり、施設様のコスト削減にも直結すると考えているためです。
値上げの波は、仕入れ先を見直すきっかけになる
2026年、介護用品の値上げは業界全体に広がっています。これは避けようのない外部環境の変化です。
ただ、同じ環境の中でも仕入れ先によって受ける影響の大きさは変わります。
- 複数メーカーを比較して、代替案を出してもらえるか
- おむつ以外の消耗品もまとめて任せられるか
- 現場の声を、メーカー側へ届ける経路があるか
- 事務・会計まわりの負担を減らしてもらえるか
- 現場のスキルアップを、継続的に支援してもらえるか
これらは価格表には載らない要素ですが、年間で見れば確実にコストと業務負担に効いてきます。
値上げの案内が届いたときこそ、「値上げの連絡だけで終わっていないか」を確認する良いタイミングです。
値上げを伝えるのは誰にでもできます。その先の代替案まで一緒に考えてくれるかどうか。
そこに、仕入れ先としての力量が表れると、私たちは考えています。
お問い合わせ
株式会社アイノンは、沖縄を中心に介護施設・病院様へ介護用品の卸販売を行っています。
私たちにご相談いただく施設様に共通しているのは、
「値上げ通知は来るけど、代替提案は一切ない」
「何年も取引しているのに、コスト見直しの話が一度もない」
といったお声です。
仕入れ先との関係に、少しでも「このままでいいのか」と感じているなら、ぜひ一度お話を聞かせてください。
現状をお伺いした上で、プロの目線から正直にお伝えします。

